法政大学鴻山文庫
宝生流謡本版元わんや書店の江島伊兵衛氏(1895~1975)が戦前から長年にわたって蒐集した膨大な能楽資料群。「鴻山」の文庫名は「江島」の二字に由来し、個人が蒐集した能楽資料のコレクションとしては過去最大の規模を誇る。1935年の創設にかかり、江島氏逝去の翌1976年、資料の大半が御遺族より法政大学に寄贈され、「法政大学鴻山文庫」と名付けられた。本文庫は、謡本・伝書・注釈書・演出資料などの能楽関連資料、約1万点からなる。能楽のあらゆる文献を網羅しており、質・量ともにこの分野で本文庫に比肩するものはない。江島氏が特に蒐集に力を入れた謡本には、観世小次郎元頼章句本・観世宗節節付本・金春禅鳳自筆本や重要文化財の指定を受けている吉川家旧蔵車屋本といった古写本や、美術品としても価値の高い光悦謡本(15種)など貴重なものが多い。謡本以外にも世阿弥『五音下』や『至花道』『申楽談儀』を含む細川十部伝書、金春宗家から寄贈された金春禅竹筆『明宿集』、下間家伝来の下間少進自筆『童舞抄』『叢伝抄』『舞台之図』、古活字版『謡抄(守清本)』など、資料価値の高い文献は実に枚挙にいとまがない。芝能楽堂の関連資料や戦時下における能番組など、近代以降の資料が充実している点も特筆される。
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